俺様男子



 どうやったら距離は縮まるだろうか。



 どうやったら莉子の好きな奴から莉子の視線を奪えるだろうか。




 どうやったらこっちを見てくれるだろうか。




 どうやったら俺と同じ目で俺を見てくれるだろうか。




「そいつの名前は教えてくんねぇの?」

「えー…恥ずかしいよ」

「塁の時はすっげぇテンション上がって教えてくれたのにな」

「今回は本当に好きなの。塁君も大好きだったんだけどね」




 莉子がそいつを想う顔は本当に可愛かった。




 本人の前で見せたら一発で堕ちるだろう。





「本当に好きなんだな、そいつのこと」

「うん…たぶんいなきゃ生きていけない」

「はは。分かるかも…俺も同じ」



 莉子がいねぇと生きていけない気がする。




「どうやったら気持ち伝わるかな…」



 悲しそうな顔をする莉子は少し涙目。




「うわ、泣くなよ…」

「え? 泣いてる…?」

「泣いてる」

「…どうしよ、いつの間にこんなに好きになっちゃったんだろう……?」



 ヤバい、途轍もなく妬ける。