「とりあえずさ、莉子に謝「あれ、塁君と柚ちゃん…?」」

「あ、莉子!」



 リビングのドアからひょっこりと顔をだした莉子。





「風邪引いたんだって? どっかのバカのせいで!」



 座っていた塁はすぐに立つと莉子の傍に寄って行き頭を撫でた。





「大丈夫だよ。どっかのバカにキスされて移った」

「は!? 昨日もキスされたの!?」

「昨日『も』って何。なんで知ってんの!?」



 莉子は笑ってるけど、絶対にこっちを見ようとしない。





 謝るタイミングも分からずに、俺は黙っている。




「優君、今回ばかりは本当にバカ。自分に素直すぎよ」

「…はい」



 最近、北川に頭が上がんねぇ!!!




「一途もいいけどね、周りが見えてないと良いものも完全に駄目になっちゃうわ」




 ただただ頷くしかなかった。