おばさんが出て行った後、俺は携帯をとりだした。
「もしもし?」
『ん、はよ…どした?』
「今日、俺と莉子学校休むわ」
『…なんかあった?』
電話の相手は塁。
やっぱりこいつだろ。
「俺の風邪が移ったみたい」
『優風邪ひいてたんだ?』
「あぁ。噴水に落ちた時に」
『教えてくりゃ見舞いくらい行くのに』
「莉子がいたからいい」
『…お熱いですなー。それで移ったってか(笑)』
向こうから笑い声が聞こえてくる。
ちらっと莉子を見るとまた寝始めたみたいだ。
俺はそっと莉子の頭を撫でながら塁と話す。
「今日は俺が看病するから」
『了解! 帰りにまた柚と寄るわ』
「あぁ」
電話を切ると部屋は莉子の小さな寝息の音だけになった。
とりあえず着替えてこようか…。
「莉子、すぐ戻ってくるから」
「ん…」
ダッシュで家に帰って服を着替え、近くのコンビニで甘いケーキとオレンジゼリーを買って莉子んちに入った。

