俺様男子

「ん」


 ポケットに突っ込んであった飴を莉子に渡した。



「ありがと…」

「相変わらず単純だな」

「もー…」



 一瞬、笑ったかと思うとまたすぐに悲しい顔になった。





「塁君…本当なの?」

「…あぁ」

「私…命張った意味ないよ」

「意味ないことないし。もし助けてなかったらもっと大変なことになってたかもしれないぜ?」




 想像もしたくないようなことになってたかもしれない。





「生きてるだけマシかな…?」

「当り前じゃん。ちゃんと塁として存在してるんだから」

「助けたのに私より怪我をしてていいの?」

「…あ、あぁ……。よくはねぇけど、莉子は悪くねぇの」



 俺が苦笑いでそういうと莉子はまた涙線を緩めた。




「泣くなってー」

「う゛、泣いてないもんっ!!」


 意地を張ってかそういうと制服の袖で目を思いっきり擦った。


 ……擦りすぎて変な音してんぞ。



「擦りすぎだから」



 莉子の腕を掴んで、目から腕を離す。