「良かった…。塁君、本当にもう元気だね」
「あぁ」
莉子は嬉しそうに笑ってる。
こんなに莉子に思ってもらってる塁はズルい。
そう思った。
塁の両親は忙しくてこれないみたいで俺らが代わりにきたんだけど…。
なかなか看護婦が離してくれそうにない。
「塁君のお友達もイケメンね」
「どーも」
「一緒にお話ししない?」
「遠慮しときます。それにそろそろ塁いいですか?」
出したくもない笑顔で看護婦に言った。
「……じゃあ行きましょうか」
乗り気じゃねぇな。
塁は看護婦が見てない間に俺に手を合わせてきた。
口パクで『サンキュ』と。

