俺様男子

「で、着替えたけど…」



 部屋から顔を覗かせた莉子は俺のほうを見る。



「あ、じゃあ先に行ってるわね」



 アユさんはリビングへと降りて行った。





「もうひとつスカート、短くして…髪も結べ」

「…はいはい」




 一瞬、意味がわからないと言うような顔をした莉子は、理解をしたのか、言われたとおりにする。




 『協力』




 この言葉が俺と莉子の境界線になった。






 そこから先には入ってはいけない。




 入りたくない。




 綺麗にサイドで結ばれた黒髪。



「長ぇな…」

「伸ばしてるからね」




 痛みなんてない。




 ただただ黒い髪だ。