俺様男子

「じゃあ、塁、行くわ」

「あぁ」



 真顔。



 塁、違うぞ。



 前の塁は『うん』だ。


 あともっと笑ってんぞ。




 じっと塁のほうを見たら気付いたのか、すぐに笑顔になった。




「莉子、またね」

「え? あ…うん!!」




 莉子って呼んでたって言わなくても『莉子』と言った塁。





 性格が変わってなかったら『莉子ちゃん』って呼んじゃってたかもな。





「塁君もゆっくり休んでね」

「うん」



 莉子はそういうと先に病室を出て行った。



「なぁ、俺…あの子の呼び方あってる?」

「あぁ。最近、莉子って呼びだしたばっかりだからな」

「わかった」



 俺も病室を出て、急いで莉子に追いつく。