俺様男子

「ふらつくんだったら部屋に戻ろう?」


 それまで黙っていた北川がそう言った。




「大丈夫だよ?」

「でも、まだ安静にしよう?」

「…わかった」




 莉子と北川は病室を出て行った。





「なぁ、塁」

「ん?」

「どうした?」

「は?」

「いつもと違う。なんか違和感感じるんだけど」

「別に普通――――じゃないな…。お前らの顔は覚えてるのに、名前とか関係は出てこない。なんだっけ?」




 『お前ら』…?




 塁ってそんな良い方してたっけ?



 名前や関係がわからないと言ってたけど、俺はこっちの方が気になって仕方がなかった。



 それより、名前だ、名前!!!




「俺は西野優だけど、覚えてるか? 塁とまぁ…親友みたいなものだな」

「覚えてないなぁ…。優か。わかった」

「あと、塁に飛びついてたのは鈴木莉子」



 関係は………。