俺様男子

「だからね、一瞬…莉子ちゃんを助けようか迷ったの…。私、本当最低だよ…」

「柚ちゃん…」



 私は何も言えなくてただ話を聞く。



「でも…今、考えたら助けて良かった。助けてなかったらね、たぶん…私も優君もおかしくなってたよ」

「おかしく?」

「優君は私の元になんて来ないだろうし…私も莉子ちゃんを助けなかったことを一生後悔してた」



 そういう柚ちゃんはどこか切なそうで、でも自分の意思を固めている様子だ。






「柚ちゃんは強いね」

「…どうして?」

「私なら助けてた後でもずっと後悔してる。そんなことを思ってしまったら」

「…後悔してるよ。でも、後悔してる様子をずっと出してちゃ、莉子ちゃんとの距離が縮まらない」




 やっぱり…柚ちゃんは強い。





 自分の考えをしっかり持っている素敵な女の子だ。




「…怒ってる?」



 急に不安そうになった柚ちゃんの顔色。




「怒ってないよ。今、生きてるだけでも本当に幸せ」

「良かった……やば、泣きそう…」




 小さな声で呟いた柚ちゃんはすでに泣いていて…ベッドの布団に顔を埋めた。