「慣れときゃ傷つかないし」
「そうだけどさ。まぁ…莉子らしい」
「私だもん♪」
暫くしてから注文したものが来た。
「ん」
「いーの? 優が食べるのかと思ってた」
「甘いのキライって知ってんだろ」
「うん。克服するのかと(笑)」
「そのうちチャレンジしてやるよ」
そう言って軽く笑うと、優はお砂糖も入れずに熱いコーヒーを飲んだ。
「今、夏だよ?」
「だから?」
「アイスコーヒーにすればいいのに」
「暑いときに熱いものを飲むのがいいんだって」
「暑いじゃん」
わかってねぇなぁ…と呟きながら窓の外に目をやった。
一瞬だけ、優の顔が光った。
「やっべ…撮られた」
「いーよ」
「良くねぇよ。俺らの人権もくそもねぇな」
「優は芸能人か何かになるの?」
「ならねぇっつの」
本当、芸能人みたいな扱いをいつされてもおかしくない顔してるくせに。

