息子である俺も本当は悲しまなきゃいけないのかもしれないけど、俺は親父の死に対して憤りしか感じなかった。
だから涙なんて出るわけがない。


だって仕事も成功してておふくろと俺っていう家族がいて立派な家に住めて…親父は何が不満だったんだろう。
どうして若い女なんかと自殺なんてしたんだよ…








俺はおふくろの部屋の近くにある親父の仕事部屋の前に立った。
自分以外は立ち入り禁止にし、俺どころかおふくろさえ入ったことのない部屋。


死体の状況により一応自殺と判定されたが、自殺の決め手となる『遺書』が死体の近くにはなかったらしい。


明日この家の中に遺書らしきものがあるか探すらしい。
でも俺は警察が遺書を見つける前に親父の遺書が見たかった。もしかしたら俺やおふくろが知らなかった真実が書かれているかもしれないから…
親父は仕事に使う大事な書類はいつもこの部屋に持っていくことは知っていた。
だからこの部屋に遺書があると考えた。
そして…親父の仕事部屋に入った。


ドアノブを捻っただけで簡単に入れた。
そして親父の机の上に、一冊の本が置いてあった。


「あれなんだ?」


俺は机に近づき、本を手に取ってみた。
その本はよく見ると日記だった。


もしかして…これが遺書か?


俺は本をめくった。