「私からこの賞品を受け取る事を侮辱と感じなさい。そしてきっと――私に返して下さい、『百万円分の食券』を」
いつになく饒舌な彼女に驚いたのも束の間、彼の眉間に寄った皺が、消えた。
凝固していた空気が、再び動き出す。
彼女の言葉の意味は謎掛けのようでいまいちよく分からなかったけれど、この女なりに自分を応援してくれているのだと、それだけははっきり伝わって来た。
沈黙は三秒。
青年はへへっと笑って、半ば引ったくるようにして舞白の手から封筒を取った。
「百万どころか一兆万倍にして、熨斗付けて返してやらあ!」
包帯だらけの彼が宣言するとなんとも奇妙に思えたが、舞白は薄く微笑んだ。
揺れる髪が銀に輝く。
「それは楽しみね。ただ残念だけど『一兆万』なんて単位、存在しませんよ」
「なっ!そうなのか!?」

