「嗚呼、そう言うだろうと思ったわ。でも……己惚れないで頂戴。何故私が罪悪感など感じなければならないのですか、貴方に情けを掛けなければならないのですか」
臆する事なく冷嘲する舞白。
曇天色の髪が乾いた寒風に靡く。
「このまま私が持っていても使いきれず宝の持ち腐れ。そう思ったから、卒業する前に誰かに差し上げようとしただけです。ただ――」
その瞳が、真っ直ぐに青年を捉えた。
「私は貴方に、貰って欲しい」
眉一本動かさず、諭すように言の葉を紡ぐ。
長身と今にも空気に溶け入ってしまいそうな儚げな雰囲気が手伝って、威厳にも似た、しかしもっと曖昧で幻想的な何かを醸し出していた。

