「この学園の学食の食券です。百万円分程あるかしら」


『百円』と述べるかの如くあっさりと、その四桁上の金額を彼女は言ってのけた。


狐につままれたような顔をするのは青年。




「ひゃくまんえん…?」


如何に普段バカだバカだと揶揄されている彼であっても、百万円が大金である事くらい分かる。


そしてそれが食券に姿を替えていたとしても高校生の簡単に持てる額ではない、という事も。




一体何故、舞白が百万円分もの食券を所持しているのか。


大発明によってしばしば学園の経営危機を救ってきた理系メンツならともかく、死神とは言え彼女は仮にも普通の高校生。


それ程多くの金を持っているとは思えないし、たとえ持っていたとしてもこういった使い方はしないだろう。


そもそも、彼女がわざわざ食券を買って自分に渡す、という事自体に違和感を覚える。