「だけど丁度良かった。貴方に渡したい物があったの」
言うが早いか、青年がまばたきをした一瞬の間に、舞白の差し出した右手には葉書サイズの白い封筒が乗っていた。
まるで手品だ、と青年はそれこそマジックに魅せられた観客の如く不思議そうな表情で、舞白と封筒とを交互に凝視する。
便箋が入っているにしてはやけに不自然に膨らんだ封筒。
白兎の君からの熱烈なラブレター……ではないのだけは明らかだ、勿論。
「なんだこれ。食いもん、じゃねえよな流石に」
なんでもかんでも食べ物に繋げるのは止めろ、と言いたいところだが。