金平糖のような甘い甘い恋

「そろそろ帰るかぁ」


 と言って空を見上げる裕輔先輩。


 「え?...うん」


 ....寂しいなんて思ったら駄目。
 彼女でもなんでもないんだから。

 そんな欲張ったこと思ったら駄目。

 あたし達は、駅に行き電車に乗って
あたし達の街で降りた。
 駅を出ると外は真っ暗で闇に包まれていた。

 裕輔先輩が外を見て


 「家まで送る」


 と言った。


 「え?!大丈夫です!!
一人で帰れますから!!」


 「いいから。
俺が送るっていったら送る」


 「一人でも帰れますって!」


 「駄目だ」


 あたし達は、また言い争って、
結局....送ってもらうことになった。

 
 「一人でも帰れるのに...」


 いつもの道を裕輔先輩と歩いた。


 「女の子なんだから一人では駄目だ」


 「こんな女誰も襲わないですって」


 あたしは、自分のことを
可愛いと思ってない。
 というか、ブスだと思う。
 ....思うじゃなくてブスです。


 「...はぁ」


 あたしの隣でため息をついた裕輔先輩。


 「なんでため息ついてるんですか?」


 「...自覚してないんだな」


 「え?」


 あたしは裕輔先輩が言ってる意味が分からなかった。


 「あ。あたしの家ここです」


 あたしは自分の家を指さしながら言った。


 「おう。そうか。んじゃ、またな」


 と言ってあたしに軽く手を振り
背を向けて歩いていく裕輔先輩。

 あたしは、今日のお礼を言わなきゃと思い決意して
大きな声で後ろ姿の裕輔先輩に


 「裕輔先輩!!
今日楽しかったです!!ありがとうございました!」


 手を振りながら言った。

 裕輔先輩はあたしの声に気づいて後ろを振り返り


 「俺も楽しかった!」


 と言った。
 そして、優しく笑いまた前を向いて歩いていった。

 あたしはその言葉を聞いて嬉しくなった。

 あたしは裕輔先輩の後ろ姿に手を振った。

 いつまでも....いつまでも....。


 そして、裕輔先輩の後ろ姿が見えなくなると
あたしは、その場にしゃがんだ。


 「...はぁ」




 あたしは、今日分かってしまった。