「…希美、いったい何を知ってるの?」



気づいた以上聞いちゃいけないことなのかもしれないけど、どうしてもそれを聞かない訳にはいかなかった。



あたしが問い掛けた瞬間希美はまずい…と口には出さなかったけれど、そんな顔をした。



やっぱり希美は優のことで何かを知ってるんだ。



「別に…何もないよ?兄貴とも最近そういうこと何も話してないし。



ただの世間話?って感じ。」



隠そうと頑張っている希美。



だけどそれ…逆効果だよ、希美。



どんどんそれが確信に変わっていく。



「あたし、絶対傷ついたりしないから!



優に他に好きな人がいるならあたしは手を引くつもり。



それは付き合った時から覚悟してた。」



そう、こんなに一緒にいる時間は長いけれどいつまで経っても



あたしの不安は心から抜けてくれない。



それに優があんな容姿で学業だってスポーツだって家系だって文句の付け所のない人だからいつかって……



ことはいつも考えてる。



それは優に"俺のこと信じてくれてない"って取られてしまうかもしれないから心の中に締まっておいているけれど。



「杏…そこまではまだ分からないよ。


でもその女の人と電話越しで話したことがあるんだ。」



え…



あたしはショックが隠せなかった。