青空ライン *Third Story*




電車に乗って最寄り駅に着いて、もう体力なんて部活で全部使い果たしたはずなのに



もし、俺が遅くて杏が帰ってたらって考えたらゆっくり歩いてなんかいられなくて



俺はマンションのエレベーターさえ使わずに階段に上って走っていた。



頼むから、
まだ部屋にいてくれ。



もうそれしか頭の中に浮かばなかった。



俺は服のポケットから鍵を取り出すと急いでドアを開けた。








……でも、部屋の中は真っ暗だった。



帰っちまったか…



あんな風に杏が言ってくれたの初めてだったってのに


…俺は何やってんだよ。


約束すっぽかしちゃったし、もう言ってくれないかもな。



俺はドアを閉めて靴を脱ぐと、一気に疲れが出てきて



玄関の電気も点ける気になれず、そのまま重たい体を引き摺りながらリビングまでゆっくり歩いて行った。