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温かくてぬくぬくで大好きなにおいがする。
もう絶対この香りを知ることはないと思ったのに。
でも何だか苦しくなってきた…
最初は全然そんなこと感じなかったのに。
いったいどうして?
と思って重い瞼を擦って目を覚ますと待っていた世界は
目の前に優がいて、あたしは優に抱き締められていた。
「く…苦しいよ。って誰?」
って優だ…
どうしてここに?あたしまだ夢でも見ているのかな?
でもやけにリアルだ。
抱き締められている感触だってあるし、優の体温だって感じる。
「俺だよ…杏。山下優」
優は切なそうな顔を浮かべてあたしの質問に答えた。
「本当に…?本当に優なの?」
だめだ…また涙が溢れてきた。

