赤いリボンの端と端を引っ張ってそれを手から離すと
今度は大きな上の箱に手を掛けた。
そして少し力をかけてゆっくり箱を開けてみると…
入っていたのは会社でみたカードやフルーツのバスケット、
花束や父さんの大好物ではなくって
待っていたのはすぅすぅと寝息を立てて眠る
間違える訳もない、この世で一番大好きで仕方なかった
………杏だった。
「どうして、杏がこんな所に…」
と問いかけてみても夢の中の杏は答えてくれる訳でもなく
未だに眠ったまま。
あの意味深な言葉、そういうことだったのか。
父さんの残した言葉に理解するしかなかった。
俺はそんな眠っている杏をプレゼントの箱から取り出して
近くにあったソファーに座ると優しく杏を抱き締めた。

