…なぜなら… …俺は今 杏の彼氏ではないからだ。 何でもう少し歩けば辿り着ける距離なのにどうしてこんなに遠く離れてしまったのだろうか。 抱き締めている男は杏の新しい好きな奴なのか? もう望みは何1つないのかよ。 だからってこのまま諦めることなんて絶対にできない。 いつの間に杏がいないと何にもできない自分が出来上がってたんだろう。 今までずっとやってきたサッカーが手につかなくなるくらい俺には杏しかいないってのに。 俺は無理矢理足を動かすと再びキャリーケースを引いて、今度こそ家に帰った。