電話を切ると、圭は少し怒った顔をして
「何やってんだよ!
辛いのに何楽しそうな話でもするかのように話してんだよ!
ったく…そういう所は本当に変わらねぇんだな。」
圭は深い溜め息を「はぁ…」と吐くと
「今日だけだからな。」と一言呟いて、あたしは圭の腕の中に引き寄せられた。
「ぐすっ…け…い?」
やばい…こんな優しくされたら、我慢してた涙が全部溢れてきちゃうよ。
別れた時もいっぱいいっぱい涙を流したのにあたしの涙はまだ枯れてない。
「あのっ…ぐすっ…圭…あたしは…大丈夫だから。」
それにここは公園で公共の場なのに。
もし、小さい子に見られちゃったら大変だよ。
あたしは圭の腕の中から抜け出そうとすると、圭は余計に抱き寄せる力を強くして今度こそ逃げ出せなくなった。
「うるせー!我慢なんかしねぇで泣けよ。誰も杏のこと見てないから。
それにこれだったら俺も見れねぇし。」
その圭の言葉を最後にあたしは堰を切ったかのように子供みたいに泣いた。
そんなあたしを圭はずっと泣き止むまで抱き締めてくれて、また優しく頭を撫で続けてくれた。
でも優を想って泣いていたのに、その現場を海外にいるはずの優に見られていたなんて
泣くのに夢中だったあたしには想像もしてなかったんだ。

