「俺さ、今までもこれからもずっと杏には本当のことを話さないつもりだったんだ。



杏が優先輩と幸せになれば俺も少しは報われると思って。



本当の真実は本人に分かって貰えなくたって、周りが信じてくれて、分かってくれればそれでいいと思ってた。



でも実際は杏に別れを告げられて別れた後も嫌いになるどころかもっともっと好きになって



それがどうしようもなく辛くて、寄りを戻したくて、無理矢理にでも自分のものにしておきたかった。



だからさ、今日こうやって来てくれたこと



久しぶりに会った時、嫌な顔一つせずに俺と話してくれて、消毒してくれたこと


それが凄く俺には嬉しかった。



だから、今日はもう何年も前の過去の話だけど



嘘偽りなく全部話すことを約束するから聞いて欲しい。」



そうやって一生懸命にあたしに気持ちを全部ぶつけようとする圭は



彼氏だった時の彼の顔とは違って少し大人っぽく見えた。



だからそんな彼にあたしは強く頷いて彼の目を見つめた。