空閑は、誰の目も引いた。
金髪ってのは元から目を引いていたけど。

ピアスだって、アクセだって
たくさんつけていて、普通に歩いてたって
誰の目も引いたけど。

そうじゃなくて、違う。

卒業式に、空閑は、白い、スーツを着てきた。
みんなは、制服なのに。

先生達は、あきれていた。
当たり前だけど。

あのホストみたいな身なり。
もう僕は卒業したらホストになります。と言ってるようなもんじゃん。

「シュウゴ!お前なんちゅー格好!」

「マジウケんだけど!」

「先生が言ってたじゃん。一生の思い出になる卒業式にしろって!
だから俺がんばったんだけどよー。
そこまで派手にやったら、親父にぶん殴られるしなぁとか
考えて親父のスーツ着てみたー」

「バッカじゃないの?」

「そうだーバカだーお前最強にバカ!」

「将来あたしが、金持ちなったら貢いであげるー」

「マジ?リカ大好きー」


卒業式にわざとなこうとしていたのに
そんな空気はぶち壊された。

空閑だったら、もう少し派手にやってもよかったのに。

族仲間連れてくるとか。
それくらいしたら、あ、そうか。「親父にぶん殴られる」か。


「ナツメ!記念写真撮ろうぜー」

空閑が、あたしの手を引っ張る。

「ナツメ暗いって!もっと笑いなよーっ」

「空閑といたら、嫌でも顔ひきつるっつの」

「うはっ、ひでーっ!俺マジ傷付いた!」

空閑をにらみつけた。
空閑はこれからどうするんだろう。

中学とか、そりゃ高校もだけど。
中学のときなんかは、空閑はめちゃくちゃしてて。

前科とかあって、就職口とかも
決まらなかったらしい。

また、この卒業式が終わったら、
空閑は、就職活動かな。


空閑なら、女に飼われるって手も
ありそうな感じがするけど。


てか、何してでも生きていけそうな感じ。