「間に合った……っ」 駅から結構な距離を走ったせいで、自分でも驚くほど息が切れた。 「私も歳かな……」 弾んだ呼吸を落ちつけようと、ゆっくり息を呑み込む。 見上げたスタジアムは煌々とした光に包まれ、中からは未だ大きな歓声聞こえていた。 おねぇーに貰ったチケットを取り出し退屈そうにしている係員に手渡し、半券を受け取ると、私はまた駆け出した。 せっかく整えた呼吸も無駄になるし、きっとお化粧だってボロボロ。 だけど、そんなの事はどうでもいい。 今はとにかく、彼に――稜君に逢いたい。