次の日、仕事が終わった私は、結衣を居酒屋呼び出して、散々愚痴を吐いていた。


「だって酷いでしょ!? だったら、もっと早く言えって思うじゃんっ!!」

「……」

「ねぇ、結衣もそう思うでしょ!?」

手元のジョッキに手を伸ばしながらも、救いを求めるような視線を結衣に送ると、結衣は何やら顰めっ面をしていて。


「美月」

「何よー……」

「あんた、それ秀君にちゃんと言いなよ」

「言った」

「ホントに? いま私に言ったみたいに?」

「……」

「ほら!」

ため息混じりにそう言って、呆れたような視線を向ける。


「美月はさぁー、何でそんなに秀君に気を遣うの?」

「気ぃ遣ってるように見える?」

「うん、思いっ切り。自覚なし?」

「ちょっと……ある」

口を尖らせた私に“やっぱりね”と、また溜め息交じりに口にした結衣は、通りがかりの店員さんに、再び飲み物を注文した。


「何でそう思うの?」

机に突っ伏した私は、結衣を見上げながら、訊ねてみる。


「ここ数年、美月らしくない」

「は?」

「あんた、ここ数年ずーっと年上の人と付き合ってるでしょ?」

「うん……?」

私の質問には、到底繋がりそうにない彼女の返事。

その言葉の意図がわからず、私の返答まで微妙になる。