パラパラとそれを捲っていくと、そこには、毎月のように載っている稜君がボールを蹴る姿。
昔は、サッカー選手の顔ばっかり見てキャーキャー言ってたけど……。
「あの頃は楽しかったなぁ」
雑誌に目を落としたまま、ポツリと呟いた私の耳に、LINEの受信音が聞こえた。
差出人は、“川崎 稜”。
【そっか! 敬語ナシだったー。ってゆーか……さっきの画像、なーに!?】
その文章に、ちょっと噴き出してしまった。
【うちのカワイ子ちゃん!……のお尻。だって、もう寝てたから】
「で、送信……っと」
それからしばらく返事を待ってみたものの、その後、稜君からの返信はなかった。
それが何だかちょっと淋しくて……。
だけどそれを“淋しい”なんて思っちゃいけない私は、まるで何かを誤魔化すように、秀君に電話をかけてみる。
「お! 電源入ってる」
この時間は大抵実験中だから、繋がらないと思っていたのに、耳に届いたのは呼び出し音。
でも。
「……出ない、か」
小さく呟いて、呼び出し音が鳴り続ける携帯をプツリと切った。
「何か上手くいかないなぁ」
天井に向かって溜め息を吐いた私は、ベッドにパタリと倒れ、携帯を握りしめたまま眠りについた。