「稜君?」
私の口から出てしまった、切羽詰ったようなこの声も、
「……ごめん」
「え?」
「泣かせてごめんね」
電話越しに伝わってしまう程、溢れている涙も、
「稜君」
「……なーに?」
「大好き……っ」
あなたの事が、大好きだからこその事。
「うん。俺も美月ちゃんが大好き」
私の言葉を聞いて、稜君はフッと笑う。
「今ねー、猛反省中」
「そっか」
「うん。なのに……美月ちゃんの声聞きたくなって、猛反省中断中」
「ふふっ」
「美月ちゃん?」
「ん?」
「俺……何やってんだろ」
静かに零された稜君のその言葉は、喧騒の中にいたら聞き逃してしまいそうな程に小さな声で紡がれて。
「何がしたいんだろう?」
「稜……君」
「何か、よくわかんなくなってきちゃったよ」
それは初めて聞く、稜君の弱り切った本音。
やっぱり私は、こんな時に上手く言葉を紡ぐことが出来ないから。
「稜君?」
「んー?」
「今度、会いに行ってもいい?」
「……ありがとう。嬉しいよ」
あなたの傍で、あなたの目を見ながら――今は独りで声を震わせているあなたのその身体を、ギューッと抱きしめたいって、そう思うんだ。
それと同時に強くなるのは、彼の傍にいたいと思う気持ち。