しばらくそうしていた自分に気が付いて、ハッとしながら携帯をテーブルに置くと、部屋着に着替えて、擦り寄ってきたポーキーを撫でながら膝を抱えた。
気持ちよさそうに床に寝転んだポーキーに少し笑いを漏らして、そのまま視線をテレビに向ける。
「……」
ねぇ、稜君。
どうして……?
大好きなサッカーのはずなのに、どうしてそんなに辛そうにプレーをしているの?
稜君の苦しそうな表情を見ていると、私の胸まで苦しくなって、膝を抱える腕に力がこもる。
「……っ」
そして次の瞬間、私はゴクリと息を呑んだ。
ミスキックを連発する稜君に、サポーターから容赦のないブーイングが巻き起こる。
「……どうして?」
電気の消された暗い部屋に響く声は、自分でも分かるくらいに震えていて、瞳から零れ落ちた涙が頬を伝う。
こんな中でプレーをする稜君は、一体どんな気持ちなのだろう。
握りしめた指先は冷たくて、カタカタと震えるそれで、口元を押さえる。
気持ちを鎮めようと、大きく息を吐き出して、涙を拭ったその時――。
まるで追い討ちをかけるように、それは起きた。
驚きを含んだような、大きなサポーターの声。
私はその画面を、ただ呆然としながら眺めていた。
目の前には、腰に手を当てて天を仰ぐ稜君の姿と、赤いカードをその目の前に差し出すレフリーの姿。
せっかく拭った涙が、またボロボロと頬を伝っていく。
「稜君……っ」
それはもう、いつもの彼ではなかった。
いつもみたいに、楽しそうに、キラキラした瞳でボールを追う稜君ではなくなっていた。
ボールを奪いにきた選手に引き倒された稜君が、カッとなってその相手の肩に掴みかかり、突き飛ばして掴み合いになった。
そして言い争いになったところで、レフリーが止めに入って……。
「どうして……っ」
更に大きくなったブーイングの嵐の中、ベンチに戻った稜君がテレビの画面に映し出される。
それは、頭からタオルをかぶり、下を向く事なく真っ直ぐ前を見据え――まるで祈るように、手をギュッと握りしめた彼の姿だった。

