布団を畳んで部屋を出て、リビングの扉のドアノブに手をかけた瞬間、一瞬蘇った昨日の記憶。

「ふー……」

心を落ち着けるために、息をひとつ吐き出して、ゆっくりとノブを回す。

でもドアを開け、瞳に映った光景に拍子抜けした。

というか、飛び上がった。


「うわっ!! ご、ごめん!!」

「へっ?」

目の前には、Tシャツを脱いでいる途中の航太君の姿。

しかも、あまりの肉体美に、謝りながらもつい凝視しちゃったしね!!


腹筋もさる事ながら、肩や腕についている筋肉も側筋も、その全てがあまりにキレイすぎて……。

寝癖あたまの航太君も、何だか新鮮だし。


ドギマギしながらも瞳を逸らせずにいた私だったけれど、

「わっ!! なに!?」

後ろから急に目隠しをされ、視界が一気に真っ暗になって驚きの声を上げた。


「見ーすーぎぃー……!!」

てっきり、後ろにいたおねぇーの仕業だと思ったのに、真後ろから聞こえたその声にギクリと肩を竦ませる。


「航太!! お前こんなとこで着替えんなっ!!」

「あー? お前がさっき、ここでさっさと着替えろって言ったんだろ」

「戦況は刻一刻と変わるんだよっ!! 美月ちゃんに見せんな!!」

「はいはい。男のヤキモチは見苦しいぞ。つーか、戦況って何だよ」

そんな声が聞こえた後、目隠しされたままの私の横を、おねぇーと同じ香りの風がフワリと通り過ぎる。



「まったく……」

プリプリしながら、私の目に当てていた手を離したのは、もちろん稜君。