時間は誰の上にも平等に流れるって言うけれど、私はそれはちょっと違うと思う。

いや、“時間”的には同じなのだけれど、何て言えばいいのかな……。

気持ちや環境で、人それぞれ時間の進む速さが全然違う気がする。


例えば――。

稜君と離れ離れの時の私の時間は、もう信じられないくらいノロノロしているくせに、一緒にいる時間は、本当に“一瞬”とか“刹那”とか、そんな感じで。

本当に嫌になる。


稜君があの日、日本に一瞬帰国してから、やっと四ヶ月――イギリスに渡ってから、やっと八ヶ月が経ったんだ。

あれから“好き勝手にメール”、“好き勝手に電話”を始めた私達は、驚くほど上手くいっている。


“この時間は……”とか、そういう心配をしなくて済むようになったのは、かなり大きかった。


淋しくないかと聞かれたら、全力で「淋しい!!」と答えてしまう自信はあるけれど、それも丸ごとひっくるめて、稜君と私の恋――そんな風に、受け止められるようになった。


相変わらず、お互い忙しい事に変わりはなくて、毎日バタバタ過ごしている。

だけど、辛くなったら空を見上げて、その先で頑張ってる稜君を想うんだ。

それだけで、もうひと頑張り出来ちゃうんだから、本当に不思議だと思う。