そんなの杉本さんには関係ない。
そう思っていた私だったけど……。
「遠恋中の彼と、ここで同棲でもしてたの? もしくは、彼がまたここに戻って来る予定があるとか?」
ちょっと首を傾げ彼の一言に、私の心臓が大きく跳ね上がる。
「杉本さんには関係ありません」
「ふーん」
出来るだけ動揺を覚られないように、素っ気なく言葉を返す私に、杉本さんは相変わらず楽しそうな視線を送っていて。
「お茶でも、ご馳走になっていこうかな?」
そんなありえない事を言いながら、まるで私をからかうように笑った。
でも、この人だったら本当にやりかねない。
それに何より、このままだと部屋に戻れない。
どうしよう……。
小さく深呼吸をした私は、手をギュッと握りしめた。
何かいい方法はないかと、頭をフル回転させるけれど、混乱した頭ではなかなかいい案が浮かばない。
~♪~♪♪~♪~
そんな時、タイミングよく静まり返った閑静な住宅街に響いたのは、私の携帯電話の着信音だった。
「……」
「彼氏?」
この時間にかかってくるのは、きっと稜君だ。
「そうだとしても、杉本さんには関係ないです」
「まぁ、そうだね。取りえず出たら? 近所迷惑だし」
杉本さんの言葉に小さな溜め息を漏らし私は、ゆっくりとカバンから携帯を取り出した。
その画面表示されていたのは、やっぱり稜君の名前。
「……もしもし」
「美月ちゃん?」
「うん」
「あれ? 今、外?」
「うん」
「……どうした?」

