「稜君。ありがとう」

「へ? 何、急に!」

あなたは、何も変わってないね。

変わってしまっていたのは私。


「何かあった?」

“最近連絡出来なかったから”と、小さく呟いた稜君の声は、申し訳なさと心配を含む声。


「あったと言えばあったけど……。稜君の声を聞いたら、何かもう、どうでもよくなっちゃった」

やっと心から笑えた私は、本当に単純。

だけど、今こうして冷静になればなるほど、自分が本当にもう限界だったという事に気付かされた。


「今度、全部ぜーんぶ聞くから」

「うん。私もいっぱい稜君の話が聞きたい」

「……ごめんね。もう少しだけ待っててね」

「うん!」

嬉しい。
すごく嬉しい。

もうすぐ、逢える。

稜君に、逢える――……。