ゆっくりと開いた手のその上で、着信を知らせる画面がチカチカと光る。

この空の画像は、稜君からの着信を知らせる灯りだ……。


稜君、すごいね。

今までで一番、あなたに繋がって欲しいと願った時に、こうしてちゃんと繋がるんだもん。


零れる涙を手の甲でグイッと拭って、大きく深呼吸をするけど、今まで耐えていたものが一気に溢れ出たせいか、涙が止まらない。

きっとこのまま電話に出たら、泣いているのがバレバレだけど……。

もう、そんなのどうでもいい。

今はどうしようもなく、あなたの声が聞きたい――……。


「もしもし」

「……美月ちゃん?」

電話越しの稜君は、少し驚いたような声で私の名前を呼んだ。


「稜君、練習は?」

今はちょうど、午後の練習中のはず。

「……」

「稜君?」

私の質問に、突然黙り込む。

だけど次に聞こえたのは、稜君の少し低い声で……。


「泣いてるの?」

「ごめん」

「いや、謝らなくていいけど……どうしたの?」


久し振りに聞くその声は、私の心の中にスーッと入り込んでいって、それを聞いた瞬間わかったんだ。

本当は、自分がどれだけ稜君を求めていたのかが、嫌になる程わかってしまう。


「今、練習中じゃないの?」

「そうだけど……。いいから」

少し切羽詰ったような彼の声に、私は包み隠さず自分の胸のうちを曝け出す。