次の日の朝、目を覚まして確認した携帯電話。


“2:03 着信あり”

“未読メールあり”

その二つのメッセージを眺めながら、思わず漏れてしまう溜め息。


「気付かなかったなぁ……」

疲れ果てて眠ってしまった自分が恨めしい。

ゆっくりと開いたメールには、茜色に染まる空の写真が添付されていた。


これはきっと、夕焼けの写真。

“辛くなったら、空見上げて”

“ずっと、繋がってるから”


「――……っ」

稜君は、一体なにを思いながらこの空にカメラを向けて、シャッターを切ったのだろう。


ねぇ、稜君。

やっぱり私、淋しいよ……。

だけど、この言葉を口に出したら、稜君は心配しちゃうよね?


唇噛んで、涙を呑み込む。

小さく震える呼吸を落ち着けたくて、胸の辺りをグッと掴んだ。

大丈夫。
まだ……頑張れる。


「よし!」

気合を入れ直した私は、ベッドから起きてベランダに出た。

そして、空に携帯を向け、写真を一枚。


“昨日は、電話に気付けなくて、ごめんね”

“今日もこっちは、快晴だよ!”


「……送信!」