部屋に帰った私達は、少し話をして、照れながら、初めて一緒にお風呂に入って。
ポカポカの身体のまま、二人でお布団に包まった。
「美月ちゃん。今日は、このまま寝ようか?」
「――え?」
「美月ちゃんの事、抱きたいけど……そしたらきっと、すぐに時間が過ぎちゃうから」
「……うん」
「だから、このまま」
私を抱きしめる稜君の胸に耳をあて、その心地よい心音を聞きながら、そっと彼の背中に腕を回す。
静かに瞼を閉じた瞳からは、やっぱり涙が零れてしまったんだ。
「稜君」
「うん」
「ごめん。やっぱり……泣いちゃう」
「……うん、そうだね」
私を力強く抱きしめる腕が、微かに震えている気がした。
それに気がついて、また胸がしめつけられて、小さくしゃくり上げた時だった。
「多分、」
「……え?」
「愛してる」
「……」
「ごめん。初めての感情でよくわかんないから、“多分”」
困ったように付け加えられたその言葉に、思わず笑ってしまった。
そのあと、気を取り直して「うん」と、一人で何かに納得した稜君は、私の顔をそっと覗き込んで言ったんだ。
「美月ちゃんのこと、愛してる」
「私も稜君のこと愛してる。多分」
「えぇー……」
「嘘」
「……」
「愛してる」
その柔らかい口調とは裏腹に、食むようなキスを落とされ、胸が大きく震える。
こんなに私の胸を震わせるのは、世界にたった一人だけ。
「稜君……愛してる」
「俺も愛してる」

