次の日の朝。

テレビを点けると、ワイドショーでは移籍が決まった稜君の特集が組まれて放送されていた。

それをぼんやり眺めながら思い出したのは、一時期の少し辛そうにしていたおねぇーと航太君の事。


あの時は、まさか自分が同じ状態になるなんて思ってもいなかった。

そもそも、あの時はまだ稜君とも出逢っていなくて、“航太君と仲良しの、テレビの中の遠い存在”――そんな風だった。


でも今ではそんなの、考えられない。

稜君は今、私に一番近い存在で、彼がいない世界なんて本当に考えられない。

そう思うと、今回の事だって“たかが遠距離!!”と思える気がした。