嬉しそうに笑う稜君の顔を見ていると、私の頬まで緩んでしまう。
「電話で言ってた大事な話って、その事だったんだ!」
笑顔のまま、そう言った私だったけど……。
「あー……。それは、またちょっと別の話」
それまでの表情を少しだけ曇らせた稜君に、何故か胸がざわついた。
「えっと、じゃーなに?」
「うん」
口をキュッと結んで、少し俯いた稜君は、小さく息を吐き出して。
「明日、出掛けない?」
「へ?」
ゆっくり顔を上げると、突然そんな事を言い出した。
当然、話題の急転換に戸惑う私の口から洩れるのは、驚きの声で……。
「出掛けたくない?」
「う、ううん。そうじゃないんだけど」
「よかった! じゃー、行きたいトコ考えといて!」
そのまま私の質問に答えることなく笑った稜君は「ご馳走様でしたー!」と、元気よく挨拶をすると、食器を重ねて流しに運んだ。
「稜君?」
「……ん?」
「何の話?」
「……」
「話しにくい事?」
「ちょっとだけ」
少しだけ気まずそうな彼の表情と、いつもよりも少ない口数に、私は戸惑いながら視線を送る。
「勝手言ってごめん」
「え?」
「明日ちゃんと話すから、今はもう少しだけ時間ちょうだい?」
「……わかった」
そんな風に言われたら、気になるけど、こう言うしかない。
それに私だって、せっかくの稜君との時間を楽しみたいもん。
「じゃー明日まで待つ!」
「ありがとう」
笑って頷いた私に、申し訳なさそうな顔をした稜君は、私の髪をそっと撫で、そのまま後頭部に回した手で、自分の胸元に私をグッと引き寄せた。

