ダイニングテーブルに向かい合って、稜君が入れて淹れてくれた紅茶と一緒に、ケーキを頬張る。
「はぁー……。ホント美味しい~!」
そのあまりの美味しさにトロ~ンとする私を見て、稜君は嬉しそうに笑いながら口を開いた。
「美月ちゃん、来月の第二土曜日って仕事ー?」
「来月?……仕事だねー」
「そっかぁ。ねぇ、有給って取れない?」
「へっ?」
稜君の突然の言葉に、少し驚いて声を上げた。
「もし無理ならいいんだけど、もし取れたら、試合観に来てほしいなーって」
「……A代表のやつ?」
「うん。でも、航太は試合がかぶって戻って来ないから、美青ちゃんも来ないと思うけど」
付き合っていなかったせいもあるだろうけど……。
今までは、もし仕事が早く終わったら来てという感じで、チケットをくれていた稜君。
仕事を休んで来て欲しいと言われたのは、初めてのことだった。
ちょっと戸惑っている私に、稜君は頬杖を付きながら上目遣いで言ったんだ。
「約束したでしょ?」
「約束……?」
「MVP、美月ちゃんにあげるよ」
MVP。
覚えてて、くれたんだ。
「ホントに?」
「もちろーん!……って、獲れたらだけどね」
「嬉しい!! どうしよう!!」
「なかなかチャンスなくて、ずっと“いつにしようかなぁ”って思ってたんだよねー」
「ありがと-! ホントに嬉しい!」
ニコニコ笑う私を見て、稜君はちょっとだけ下を向き、プッと噴き出す。
「お礼はいらないし、まだ獲れてないから。でも美月ちゃんが来てくれたら、百万人力!」
「あははっ! じゃー、休み明けに有給取れるか確認してみるっ!」
「うん! ヨロシクー」

