「じゃー、最後にもう一個」
「うん」
「美月ちゃんは、俺のことが好きなの?」
「……っ!!」
さっきは勢いに任せて言ってしまったけれど……。
真っ直ぐに目を見つめられたまま聞かれたその質問に、顔がカッと熱くなる。
「違うの?」
首を傾げた稜君に、今度は顔を覗き込まれながらされるその質問。
“俺のことが好きなの?”
――そんなの決まってる。
「違く……ない」
恥ずかしさから少し俯いて、だけど何とか目線だけは落とさないようにと、彼を見上げながら口にしたその言葉に、稜君はちょっと赤い顔で、やっといつものようにふわりと笑ったんだ。
トクン。
その表情に、今までとは違う心地よい音を立てた心臓。
「じゃー、一個ずつ誤解を解いていくね?」
「え? ご……かい?」
心では何かを感じたらしいが、頭では現状を理解出来ていない私は、稜君の思いもよらない一言に、バカの一つ覚えみたいな瞬きをくり返すことしか出来ない。

