意味の解らない稜君の言葉にポカーンとする私を見て「可愛い顔が、台無しー」なんてクスクス笑った彼は、少しだけ体を屈めながら顔を覗き込む。
「えっと、取り合えずどっか座ってもいい?」
「ご、ごめんっ!! 膝……!」
今頃彼のケガの事を思い出すなんて、自分のバカさ加減が本当にイヤになる。
だけど稜君は、そんなことちっとも気にする様子もなく、ちょっと困ったような笑顔を向けると、大きな手で慌てる私の頭をポンポンと撫でた。
「そんな心配そうな顔しないで」
そしてそのまま、私の手を引いて、近くのベンチに向かってゆっくりと歩き出した。

