「だって……」
「え?」
それまでよりもハッキリとした私の口調に、稜君が驚いたように瞳を大きくする。
あぁ、もう。
イヤだ――……。
「だって……好きなんだもん!! 大好きなんだもんっ!!」
胸の中に必死に押しとどめていた気持ちを、一度言葉にしてしまったら、もう止めることは出来なかった。
「稜君が、ホントはおねぇーの事を好きなのも、わかってる!!」
「え?」
「あんなに素敵な彼女がいる事だって、ちゃんとわかってる!!」
「……」
「でも好きになっちゃったんだもんっ!! しょうがないじゃん!!」
涙をボロボロと零しながら、まるで開き直るように言い放った、私の可愛くない――でも、精一杯の告白。
「でも……もう、辛い」
絞り出すように呟いてから見上げた稜君は、ほんの少し眉間に皺を寄せて、困ったような表情を浮かべていた。
「ごめん。私にこんなこと言われても、稜君は困るだけなのに」
誤魔化すように、自嘲的な笑いを浮かべる私はゴシゴシと涙を拭う。
その腕を、稜君の温かい手がそっと掴んだ。
「え?」
驚いて顔を上げた私を、優しい瞳で見つめると……。
「ちょっと、色々確認しないといけないかも」
困惑した様子は変わらないけれど、それでもさっきよりも柔らかい表情を浮かべて、眉尻を少し下げながら笑ったんだ。

