「それに、秀君とはあんな別れ方して恋愛に自信が持てなくてさー」
「確かに、秀はマジで最低な男だったね」
「それに、稜君はおねぇーの事が好きだしなぁーとか、じゃーあの香水は誰? とか、色々考え過ぎて頭の中がよくわからない事になってたんだもん」
テーブルにコテンと頭を乗せた私に、盛大な溜め息を浴びせた結衣は、「そういう時に、相談相手が必要なんでしょ!!」と人の頭を小突く。
「うん。だから今、話したぁ……」
「もうちょっとシャキッとしなさいよー」
呆れたような声を上げられたって、お水で顔がふやけた時のアンパン顔の某ヒーローみたいに、どうしても力が出ないんだから仕方がない。
「どうしたらいいのかなー」
「もう一回、話してみたらいいじゃん」
「そうなんだけどさぁ……」
それが簡単に出来たら、こんなに悩んだりはしない。
どうしても、あの時の稜君の表情が私の脳裏から離れなくて、向き合って話をするのが怖い。
“もういい”――そんな表情をした稜君に、今更何を、どう言えばいいのか。
しかも、あの時の話に全く触れないまま中途半端時間をおいてしまったから、今更あの話題に持っていくきっかけがつかめない。
私だって、これまでそれなりに恋愛はしてきたと思っていたけれど、それが本当に独りよがりだったのだと最近痛感していた。
「恋愛って、難しいなぁー」
また大きな溜め息を吐きながら、そんな事をポツリと呟いた私。
それなのに。
私の落ち込みっぷりをスルーして、結衣はテーブルの上にあったリモコンに手を伸ばし、テレビを勝手に点け出しだ。
「ちょっと! 私、真剣に悩んでますけど!?」
「わかってるよー」
その言葉とは裏腹に、私の方なんて見向きもせず、番組表を表示して、結衣はピポピポとボタンを押していく。

