「稜君!!」
何とか追いついた彼の背中にかけた声は、勢いとは裏腹に、小さく震えていた。
「美月ちゃん? どうしたの?」
振り返って、少し驚いたような顔を私に向けた稜君は、まるで何事もなかったかのように、そう口にする。
でも……。
「どうしてそんな目で見るの?」
やっぱりその瞳は、いつもの稜君の瞳じゃない。
「私……稜君に何かした?」
私の言葉に、小さく震えた茶色の瞳。
さっきから心臓がひどくザワついて、よくわからない不快な感情が湧き上がるそこを、グッと手で握りしめた。
そんな私の目の前で、ゆっくりと口を開く稜君の表情は、私のものとは正反対で。
「翔太くん、俺昔から良くしてもらっててさ」
「う……ん?」
突然の翔太さんの話題に、私は彼を困惑気味に見上げながら、少し首を傾げる。
「あの人、凄くかっこいいんだ。優しくて器がでっかくて。頼りがいもあるし、人望も厚い」
「……」
「それに、美月ちゃんより年上だもんね」
「……え?」
――私?

