「どうして、あんなに強くなれるのか……。それが知りたいんです」
逸らすことなく、真っ直ぐその目を見つめたままの私に“そっか”と小さく呟いた翔太さんは、
「ちょっと待っててね」
そう言うとスーツの内ポケットから携帯を取り出し、どこかに電話をかけ始めた。
「――おー、悪い。寝てたか?」
寝てた?
こんな真昼間に?
自分の腕時計にチラリと視線を落とし、ちょっと首を傾げた私だったけど、次の言葉で、すぐにその言葉の意味を理解した。
「航太。美月ちゃんに、昔の事を話してもいいか?」
電話の相手は、航太君だった。
「あぁ、わかってるよ。……美青ちゃんは?」
翔太さんは、真剣な表情のまま、航太君の話に相槌を打つ。
まさかこんな大ごとになってしまうなんて……。
やっぱり、こんな事を聞くべきじゃなかったのかもしれない。
「わかった。朝っぱらから悪かったな」
沸き上がる後悔で胸が痛み出した私に、電話を切った翔太さんが視線を向けた。
「お待たせ」
「いえ……」
「一応、航太には聞いておこうと思ってね」
もう温くなっているであろうコーヒーに手を伸ばしたお兄さんは、また少し困ったように笑う。
そして、まるで何かを決心したかのように、ひとつ大きく息を吐き出して、ゆっくりと口を開いた。
「美月ちゃん」
「は……い」
まるで自分を蔑むように、自嘲的に浮かべられた笑顔。
その瞳に、何故か私の胸がしめつけられたように痛くなる。
「俺なんだ」
「え?」
「俺が、美青ちゃんと航太を引き離したんだ」
一瞬何の冗談かと思った。
何の冗談かと思ったから、笑い飛ばして「何言ってるんですか!」って、そう言おうと思ったのに。
彼の表情に、私は言葉を失ってしまったんだ。
だって翔太さんのこの表情は、きっと嘘を吐いている表情じゃない。
「今でも後悔してる」
嫌な緊張に喉を鳴らす私の目の前で、まるで懺悔をするように、翔太さんの口からポツポツと紡がれたのは……。
私が思っていたよりも、もっともっと辛い、胸を引き裂かれるような痛みを伴う事実だった。

