「困っているような、ちょっと淋しそうな、そんな顔……かな?」
「そっか。あながち、間違えてないかもね」
私の返事にフッと自嘲的にも思える笑いを漏らした翔太さんは、そんな事を言ったんだ。
「えっと、それは――……」
“どうしてですか?”
“おねぇーと、何かあったんですか?”
そう聞いてもいいものなのか少し戸惑ったのは、そんな表情の翔太さんを初めて見たから。
次の言葉を呑み込んだ私に気が付いたのか、苦笑いを浮かべたままの彼が、思わぬ言葉を口にした。
「あの時、ここで美青ちゃんを泣かせちゃったんだ」
「え?」
「俺、ホント無神経な事言っちゃってさ。今思い出しても、申し訳ない気持ちでいっぱいになるよ」
そのまま瞳を伏せ、視線をテーブルの上のコーヒーに落とす。
ただの思い違いかもしれない。
だけど、それは――……。
「航太君の事と、何か関係があるんですか?」
おねぇーと翔太さんの接点は、ふたつ。
ひとつは、一緒にやっていた仕事。
そしてもうひとつは……航太君。
おねぇーは、どんなに仕事がキツくても、それを理由に人前で泣いたりするような人じゃない。
そうだとしたら、航太君のこと以外に理由が思い付かなくて。
思わず、そう口にしていた。
アメリカから帰って来たおねぇーが、翔太さんの話で泣くとしたら、どうしてもそれしか思い浮かばない。
だけどあの頃二人は、別れていたはず……。

