翔太さんに連れられて入ったのは、本部の近くの可愛らしい喫茶店。
「こんな所でごめんね」
「いえ! 私の方こそ、すみません」
今は丁度お昼の時間帯で、この辺は巨大なオフィスビルが立ち並ぶ、いわゆる“オフィス街”。
お昼時という事もあって、どこのお店も、サラリーマンやOLさんが席待ちの列を作っていた。
私のお昼休憩が終わる時間に間に合うようにと翔太さんが連れて来てくれたのが、彼もよく来るという、大通りから一本裏に入った路地にある喫茶店だった。
「うちの会社、休憩時間が短くて……」
「そっかー。うちは比較的自由が利くからなぁ」
メニュー表を差し出された私が、うんうん唸りながら迷っていると、翔太さんは頬杖を付きながらフッと笑みを漏らす。
「ちなみに、おススメはオムライスです」
小さな笑いに顔を上げると、そう言ってにっこり笑った。
オ、オムライス。
可愛い。
翔太さんが、オムライス……。
「じゃー、オムライスにします!」
軽く噴き出しながらそう言った私の顔を見て目を細めた翔太さんは、ちょっと手を上げ、私と翔太さん、二人分のオムライスを注文してくれた。
「いつも大抵お昼は一人だから、話し相手がいてくれて嬉しいよ」
目の前に置かれたグラスに手を伸ばす彼の表情は本当に柔らかくて、つられるように私の頬まで緩んでしまう。

