そんな経緯から、何度もおねぇーにそれを聞こうと思っているんだけど……。
聞いてもいいのか、触れてもいいことなのか。
それがわからないから、何度も口籠って誤魔化して、結局聞けずに時間と携帯の通話料ばかりを無駄にする羽目になった。
「おねぇーさ、昔、航太君と一回別れたでしょ?」
「うん」
「どうして別れたの? それで……どうして、また航太君を選んだの?」
「……」
「ごめん。言いたくないならいいんだけど」
流れた沈黙にやっぱり申し訳ない気持ちになって、そんな言葉をモゴモゴと付け足した。
「言いたくないわけじゃないんだけど……」
「うん」
「前にも言った通り“離れるしかなかった”のかなー」
おねぇーの返事は、自分で言ったのに、まるで疑問符が付いているかのようなもの。
「他の選択肢も、あったの?』」
「あの頃はそれしか思いつかなかったし、あれが最良だと思ってた。でもね――」
「うん」
「ちゃんと今に繋がったから、後悔はしてないよ」
「……」
「あの時は、私も航太も幼くて、二人の世界ばっかり見てたのかな? だけど、それだけじゃダメだったんだよね」
やっぱり疑問形で発せられるその言葉に、楽しそうに笑っていた、昔のおねぇーと航太君を思い出す。
「でも逆にね“他の選択肢を選んでいたら”って考えると、怖くなる事もある」
「え?」
「そしたら、今の航太はいなかったかもしれないし……。こうして、ずっと一緒にはいられなかったかもしれない」
「……」
「あの離れてた時間があったから、強くなれたのかもね!」
きっと今、電話越しのおねぇーは笑っている。
だけど、私にはやっぱりよくわからないよ。
どうしたら、そんなに強くなれるの?
どうしたら、そんな風に潔く生きられるの?
結局そのヒントを得る事も出来ないまま、私は電話を切ったんだ。

