頑張って努力してあの人の彼女になりたいと思ってはいなかった。



それよりも、今の関係を壊したくなかったから。



今まで通りでいられればそれで良かったんだ。



だから恋する乙女の気持ちなんか分かるわけない。



第一、私の性格じゃあ乙女になるのは不可能に近い。



ってか無理して乙女になる必要もないと思うし。



「……恋……ね…」



そう言って目を閉じた。



その時、芽生えつつあった2つの気持ちに香撫はまだ気づいていなかった――――――――