莉那からのメールを返信をしようとしたとき、携帯の着信音が鳴った。
”莉那”
でちゃいけないんだ。
心の中でそう感じた。
でも体が勝手に動く。
「もしもし…」
「久しぶり優香!」
「…久しぶり莉那」
「どうしたの?元気ないね。それより学校どう?」
「学校…。あたし幸せだよ」
「え?」
「今は心友が出来た。毎日が楽しいんだ」
これは事実。
心に言い聞かせる。
「…そうなんだ。優香も積極的になったんだね」
また強がる。
「…もう強がらなくていいんだよ」
「…え?」
「もういいんじゃないかな?」
「…っ、疲れたよ…」
携帯の奥から聞こえる莉那の声は、とても悲しい声で。
私には何も出来なかった。
莉那にとっては過酷な毎日だったのかもしれない。
誰1人知らない学校。
友達のいない毎日。
孤独と悲しみを抱えていたのだろう。
「優香…」
「なに?」
「あたし、全てに疲れちゃった」
泣きながら莉那はつぶやいた。
でも、あたしには出来ない。
何も出来ない。


